第137章 夜更かしのヒトコマ
今日は居酒屋のアルバイトがあり、私達が帰宅したのも深夜に近い時間だった
そこから入浴も済ませてゲームをし、時刻は深夜3時を過ぎた頃
当然ながら今までの私達は眠っている時間で
ゲームが終了したのだから眠ろうと言われると思っていた
しかし彼は就寝とは真逆の言葉を発したのだ
私は夜更かし推進の企みを彼に話していない
つまり、彼も私と同じ様に考えているのだろうか……?
無表情だし胸の内を話さない彼が実際何を考えているのかは私にはさっぱり解らない。
しかし先程の言葉は私と同じ様に別れを惜しみもっと時間を共有していたいと思っている様に聞こえて泣きそうなくらい嬉しいと思ってしまった
「沙夜子?」
思考を巡らせ固まっていた私を至近距離で覗き込む美形に名を呼ばれてビクリと跳ねる
「あ、えっと……何しましょうか」
「…………ココア作ってあげる」
ぎこちなく笑った私に彼は突然キッチンへ消えた
「……え?」
作ってあげる……とはまた随分上からの発言だ
私は別に一言もココアが飲みたいなんて言っていないし彼の突然の行動に戸惑った
彼は時たまココアを作ってくれる
しかしそれはあくまでも彼がコーヒーを淹れるついでであって今の様にわざわざ作ってくれる事は無かった
只ポカンと座っていた私に歩み寄った彼はちゃぶ台に色違いのカップを置くとハンガーに掛けている彼のコートを私へ手渡して言った
「ベランダで星を見よう」
「………はい!」