第137章 夜更かしのヒトコマ
「何がしたいですか?」
リゾート地をモチーフにした島には12のゲームがある
彼はそんな中でチャンバラを選んだ
「対戦しましょう!」
「良いよ。」
現実世界で彼とチャンバラなんてしてしまえば瞬殺でやられる事は目に見えている
しかし、ゲームと成れば話は違う
私の方が格段に慣れ親しんでいるし彼はいくら飲み込みが早くとも初心者だ
私に充分の勝機がある
私は今まで勝負事で彼を打ち負かした事が無いが今夜その連敗の記録を塗り替えるかもしれない………
私は気合い充分で彼に挑んだ
結果
ボロボロに負けてしまった
「………なんで」
「沙夜子が弱いから」
余裕綽々に言った彼を見上げると鼻で笑われてしまい悔しさが込み上げる
「もう一回!!!」
「良いよ。どうせ勝てないだろうけど」
挑発に乗せられるまま何度も戦いを挑んだが結果は散々だった
「……………はい。次のゲームに行きましょう」
「………。」
私はチャンバラで彼に勝とうとする闘争心を完全に失い次のゲームへと画面を移した
私が選んだのはウェイクボード
ゲーム内の海をモーターボートに引っ張ってもらい次々立つ波に合わせてジャンプし、その点数を競うゲームだ
初級編での挑戦で私は3000点代を叩き出した
「よしっ!次はイルミさんですよ!」
「うん」
自己ベストを新たに更新した記録に満足感で満たされ清々しい気持ちで彼へバトンタッチする
しかし次々波をジャンプするイルミーは驚く程高得点を次々叩き出した後に軽々私の得点を越えた
「………。」
私が優越感に浸っていたのは本当に短い時間だった………
無言で彼を見上げ見詰め合う事数秒、視線を外したのは彼だった
「………手加減しようか」
緩く髪をかき上げた彼の言葉は私のちっぽけなプライドをズタズタにして再び私の闘争心を駆り立てさせる
「手加減とかやめてください。絶対!私は本気のイルミさんに勝ちたい………。うん。勝ちたい。」
「………ゲームだけどね」
「ゲームでも勝負は勝負です!」