第17章 豆まきだって命掛け
箱根駅伝や成人式、大学入試のセンター試験……
世間が騒ぐ中それらとは無縁で私は新しくアルバイトを掛け持ちし始めた事もあり
目まぐるしく1月を駆け抜けてあっという間に2月になった
あの日からイルミさんは本当に居酒屋が終わるとお迎えに来てくれる
夜のデートの様で私の大好きな時間になった
後々知った事なのだが、私が風俗街で働いているかもしれないと思ったのはテレビ番組のドキュメンタリーにてそういうお仕事をしている女性の半数は平凡で昼間に会社勤務等をしているにも関わらず金銭面で苦労している場合がある、と紹介されていたから私と被ったのだと彼は話した
笑ってしまった私の頬を摘まむ力加減はもう少し考えた方が良いと思うが彼からのスキンシップが増えた様に思う
藤木と話していた合コンの件だが藤木の男性メンバーの中に弟の友人が一人混ざっており、イルミさんと交際中という事になっているので急遽親友に拝み倒して身代わりになってもらった
その出来事をイルミさんに話すと「沙夜子は迂闊だ」と説教を食らった後に「彼氏役ならしっかり務める」と言われてキュンキュンしてしまった
そして相変わらず彼は努力家で私の居ない昼間はトレーニングに勤しみ夜は漢字のお勉強と頑張っている
ドリルも四年生まで進んだ様だ
完璧に覚えて使いこなすのだから習得が早い様に思う
そこは流石イルミ様という感じだ
勿論だが、破壊された扉の修理代も少しずつだが実家に返している
本日2月3日
私は仕事帰りに恵方巻と豆まきセットを購入した
イルミさんとしたい事リストにもある項目である
(今月は遊園地も行くし~やっぱりお金に余裕あるって素晴らしいわ~)
17時代のスーパーは人でごった返していたが私は上機嫌で人混みを縫って歩いた
(最近シャンプーとトリートメント無くなるん早いしついでに買っとこう)