第136章 歌のヒトコマ
以前ゾッとするようなユニークな歌を歌った人間と同一人物だとはとても思えない程バッチリ音程を掴んでいてどちらかと言わずとも歌が上手かった
私の視線は最早彼に釘付け状態である
………度肝を抜かれてしまった……
彼に一体何が起こったのだろうか……
以前との違いは何なのか……
格好いい………
なんて事がぐるぐる頭を回っている内に曲は終わり私は拍手を送る
「イルミさんめっちゃ歌上手いじゃないですか!!!」
「初めて言われた」
「前歌ってもらった時と……その……全然違います!」
感激で前のめりになりながらも感動を伝えれば
「……あぁ……。アカペラだといまいち音程が掴めないんだよね」
と、以前からの目まぐるしい変化の理由を教えてくれた
まさか彼がこんな美声の持ち主だったとは………もっと早くカラオケに来るべきだった
勿論彼は普段から素敵な声をしているし普通に会話している時の声も大好きだ
しかし私は早くも彼の歌声の虜になっていた
「他にも聞きたいです!いっぱい歌ってください!!」
「次は沙夜子でしょ」
興奮する私とは裏腹に落ち着いた様子の彼は脚を組み変えながらマイクを私に差し出す
「……交代で歌いましょ!」
「……解ったから座りな。」
「はい!」
交代で彼の歌声に聞き惚れる
普段静かな彼が大声を張り上げる際に僅かに眉を潜めて両眼を細める仕草がセクシーで
私は何枚も写真を撮った