第136章 歌のヒトコマ
12月05日0:36
平日ど真ん中の今日私は彼を連れてカラオケに来ていた
遡る事数十分前
居酒屋でのアルバイトを終えて私は彼と並んで何時もの様に歩道を歩いていた
しかし足取りは重い
家に帰ってしまえば後は眠るだけ
眠ってしまえば今日が終わるのだ
気が付けば彼の上着を掴んでいて、向かった先は駅前のカラオケだった
解っている。
どれだけ夜更かししようと明日はやって来る
何処に行こうと変わらない
………だけど……どうしても時間が惜しくて仕方がなくて
そして私が無い頭であみ出したのは『夜更かし推進委員会』だった
説明せずともその名の通り彼と夜更かしをしようという企みである
起きている時間が長い分彼との記憶は多くなる
呑気に寝ている時間等私には残されていないのだ
受付中キョロキョロと辺りを見渡していた彼は無言のまま私に着いてきてくれた
「何も言わないんですか?」
と尋ねれば
「言った所で聞かないでしょ」
と真顔で言われてしまい思わず苦笑いを返す
受付にてフリータイム、飲み放題付きのコースをちゃっかり頼んだ私は勿論アルコールを、彼もつられてアルコールとおつまみセットを頼んだ
「カラオケです!」
「………。」
やけにカラフルな壁紙を背にモノトーンの服を着た彼は無表情に私を見ている