第135章 何気無い日曜日
リビングへ出て時計を見ると丁度お昼の12時だったので直ぐ様キッチンへ向かう
彼はその私の動きを確認したのか上半身を露にしてストレッチを始めたので意識しない様に料理に集中したが
……鯖を少々焦がしてしまった……
出来上がった料理を眺めながらも背後の気配に意識を向ける
……まだストレッチ中なのだろうか………
しかしこのまま料理を眺め続けていても冷める一方なので
「お昼ご飯ですよー!」
声を張り上げながらリビングへ運ぶと
「先に食べて」
と返事が返ってきた
焼き鯖と卵焼き、昨夜の残りの肉じゃがを並べてチラリと彼の背中へ視線を向ける
最近彼は念入りなストレッチとトレーニングを毎日怠らない様になった
其れはもうじき彼が元の世界へ戻ってしまう準備の様に思えて毎朝私はぎゅっと胸が潰れそうになる
「……冷めちゃうよ。先に食べて」
片腕で軽々腕立て伏せをしながら言った彼の呼吸は微塵も乱れておらず、込み上げる悲しみを追いやる様に私の中には好奇心にも似た疑問が浮かんだ
「そのトレーニングって意味あるんですか?」
「は?」
筋肉を苛めるのが筋トレだとするなら呼吸ひとつ乱れない程度の筋トレに意味があるのだろうか?と疑問に感じたのだ
それに加えてどれくらいの筋トレなら彼は呼吸を乱すのだろうと好奇心が沸いた
その疑問をそのまま彼にぶつければ彼は腕立て伏せを続けたまま呆れた様に溜息を付いた
「これは筋トレじゃなくてストレッチの延長だよ」
「えっ。こっちの世界では難易度高い筋トレですけど………」
「軟弱な一般人と混同しないでもらえる?」
「すみません………あ!私が上に乗ったら筋トレに成りますか?!」
「え」
先に昼食を食べる様に勧められたが私は断固として彼と一緒に食べたいと思っている