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ここは私の部屋です【HUNTER×HUNTER】

第135章 何気無い日曜日




翌日



「沙夜子」


意識が覚醒し切らない微睡みの中で彼の声が聞こえた気がして姿を探す


彼は直ぐ傍にいて私の髪を撫でるので私は微笑みを返した


途切れ途切れ短い夢は繰り返し彼の物ばかり


淡い光を感じて重たい瞼を開くと目の前に見える彼と目が合った


布団から出ずに何故か此方をじっと見ている彼に手を伸ばすと掌は簡単に彼の頬に触れる


「寝ぼけてるの?」


柔らかい声色が心地好くて落ちる瞼に逆らえずに視界を閉ざす


手のひらに優しくキスをされる夢を見た







「!!!」


夢か現実か曖昧な感覚に慌てて飛び起きる

バクバクと脈打つ心音が騒がしく慌てて上体を起こして彼を盗み見ると彼はそんな私をじっと見ていた


「お、おはようございます」


「おはよう」


随分前から起きていたのだろうか

彼ははっきりとした声を上げた


がばりと勢い良く起き上がった私とは違って布団に転がったままの彼は遅れて上体を起こすと伸びをしてそのまま洗面所へ消えた


私の願望か……はたまた………なんて考えれば考える程頬が熱くなるのを感じながら曖昧な記憶を辿って手のひらを眺めていると


「手に何かあるの?」


いつの間にか身支度を済ませた彼が単調に言うので私はぶんぶん首を振る

………あれは夢だ………。その証拠に彼は普段と何ら変わらないし………


なんて考えながらも遅れて布団を抜け出した先、擦れ違った彼が一瞬妖艶な笑みを浮かべた気がして急ぎ足で洗面所に飛び込んだ


(えっ……!!夢!?現実……!?)


彼の表情ひとつで簡単に混乱する頭はぐるぐる回る

鏡に映った姿は林檎の様に真っ赤で更に恥ずかしく成った


………彼が何の前触れも無くキス等する筈が無い………

歯ブラシをシャカシャカ鳴らしながら気持ちを落ち着かせる

……私の願望が見せた夢だ。………そう。笑った様に見えたのも夢を意識する故だ………。


繰り返す事数十回。

私はすっかり何時もの顔色を取り戻していて随分長い歯磨きになってしまった


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