第134章 迷子のクリスマスツリー
港町をイメージした其のエリアをくまなく探し回るが彼の姿は無かった
そう言えばアトラクションに入られてしまっていては見付け様が無い……という事に今に成って気付く。
焦りとは思考を随分トロくするらしい
活気ある雰囲気には場違いな独りぼっちの私は只彼に会いたいと思う反面、果たしてこの広いパーク内で再会等可能なのだろうかと弱気になっていた
冷たい夜風が妙に身体に染みてブルリと震える肩を抱く
ジェットコースターの後は休憩を兼ねて温かな店内で食事をする予定だった事を思い出しぎゅるぎゅると空腹を訴えるお腹を見下ろした
途端にわぁっと歓声が上がり視線を上げれば大きなツリーがキラキラと輝いていて
いつの間にか立っていた場所は一体何処なのか自分でも解らなくなっていた
パーク中心にある大きな池の水面に沢山の電飾が反射してゆらゆら揺れる
大きくて華やかな光を見ているからか其れが冬の象徴であるクリスマスツリーだからか、はたまた独りでは寒過ぎるからか
私の目には涙が浮かび実物のツリー迄もがゆらゆらと揺れて霞む
肌に感じるのは彼と出会った頃と同じ風で
はぐれてしまった不安も相まって悲しくて寂しくて只立ち尽くす内にポロポロと涙が頬を伝い直ぐに冷たくなった