第134章 迷子のクリスマスツリー
古代に生きた生物が何故目の前に姿を現したのかは解らないが自身の世界より技術が発達している様にも思える世界では何があってもおかしくない。
ショップに入らないのは未知への恐れか……
人を食らわ無いのは獲物だと判断しかねているからか……
様々な思考が巡る中、耳に届く子供の泣き声
念能力を使うか……?
自身の能力は操作系、針には種類があるが常に肌身離さず自身の念を溜め込んだ針は生成に時間を有する分威力も上がる
勿論此方の世界に来たからと言って生成は怠っておらず、常に掌の中や手首には針が仕込んであるのだ
………この針を使うか………
なんて考える最中じっと恐竜を観察していてはたと気付く
ずっと感じていた違和感の正体
(…………中身人間じゃん……馬鹿馬鹿しい)
骨格構造から察する筋肉の場所と動作がどうもちぐはぐで違和感を感じていたがどうやら中身は人間だ
一瞬にして色々な事を考えた事が酷く馬鹿馬鹿しく、其れと同時に腹立たしく思った
(………中身どんな奴だろう)
奇妙な動きを必死に繰り返す恐竜の着ぐるみの後を着けて行くと恐竜の着ぐるみは厳重な扉の中へ入って行き扉はバタンと閉じられた
結局中の人間の顔は見られず落胆する
「あ。沙夜子忘れてた。」
すっかり暗くなった空
昼間より格段に落ちた気温に自身の声は白い色を残した
街灯の灯りが点る中彼女の元へ急ぐ事にした
________"
暫く立ち尽くしていたが彼の姿は無かった
観光を続けるならばまだ見ていない場所に行くだろうとサンフランシ○コエリアを歩いてみる
周りはカップルばかりで楽し気な声が聞こえる中私は浮かれたカチューシャとは裏腹に不安と焦りを隠す事無く顔に出しているだろう