第134章 迷子のクリスマスツリー
私は彼の大きくて見た目よりずっと骨張った手をしっかりと握ったままパーク内を歩いた
道中ジ○ーズの舞台をモデルにしたアミ○ィビレッジを横切り大きな鮫のモニュメントを眺めた後にミニオ○パークを素通りされそうに成り私は慌てて立ち止まったのだが
「こら。そっちは子供の遊び場だよ。沙夜子はもう大人でしょ」
チラリとパークを見た彼は単調に私を注意した
どうやらカラフルなその場所は彼の目には子供向けに見えたらしい
まぁどちらかと言えばそうだろうが別に完全子供向けという訳では無いし私はアトラクション以外に目的があったのだ
私の手を引いて立ち去ろうとする彼を無言で引っ張るとゆっくり振り返った彼はゆるゆると頭を掻いた
「そんな顔しても駄目」
何処で彼の長男スイッチを発動させてしまったのか随分保護者的な物言いに私はおずおずと口を開いた
「ポップコーン買いたいんです……」
テーマパークでポップコーンを好きな人と食べる事に以前から憧れを抱いていたのだ
言いながらチラリと彼を見上げると
「………解った……」
溜息交じりに足はミニオ○パークへと向けられた
内心キュンキュンである
本来立てた計画を崩したく無い几帳面な彼が私の我が儘に付き合ってくれる事が嬉しくて幸せで仕方がない
「ニヤけてないで、何処のポップコーンが欲しいの」
チラリと私を見た後にそんな事を言った呆れ顔を余所に私は変な笑い声を上げたのだった