第133章 遊園地と浮かれたカチューシャ
そりゃそうだ。パーク内でのみ許される代物なのだから陽気には違いないだろう
もうひとつ辛うじて男性でも付けられてそうなデザインの物を彼に手渡して見るが腕組みをしたまま
「俺は着けない。」
と、キッパリ拒否をされてしまった
「えー……ずっと着けてなくて良いから記念撮影だけでも……」
「イヤ」
「お願いします!せっかく来たんやし……」
「…………。」
彼の上着にすがり付いて懇願した甲斐があり彼は溜息を付いた後に酷く不機嫌な表情とは裏腹な陽気なカチューシャを着けてくれた
やはり彼は優しい
三枚程写真を撮った所でカチューシャは外されてしまったが私の願望は叶ったので笑顔を向けてお礼を伝えると
「沙夜子のは買ってあげるよ」
と言って頭からカチューシャを取り上げられてしまった
実のところ購入する気は更々無い質の悪い客だったのだが彼が何処か楽し気に見えたのでプレゼントしてもらう事にした
「ありがとうございます!」
「うん」
再び繋がれた手から伝わる温もりは身体の芯まで温める様な幸福感を伝えて
何だかスキップしたいくらい楽しい気分の私には浮かれたカチューシャが馬鹿みたいにお似合いかもしれない、なんて思ったりした