第133章 遊園地と浮かれたカチューシャ
時間と共に増えた客足に先程よりも待ち時間は長く成っているが気にしていたら何にも乗れないので黙って並ぶ
………只待つという行為は寒さを助長させる様で、手と手を擦り合わせていると
不意に大きな手のひらが私の手を包んだ
「沙夜子は寒がりだよね」
なんて言った彼はその凛々しい雰囲気からは想像も付かない人間らしい体温を伝える
「あったかーい……」
染々と言ってしまった私だが内心ドキドキしていて頬が徐々に熱を帯びるのが解った
「沙夜子は冷えてる」
「イルミさんはポカポカですね」
「俺は寒さが平気だから」
真っ直ぐな視線を感じながらも照れくさくて俯いていた私だが彼に手を取られて指を絡められ心音は大きく跳ねた
今自分がどんな顔をしているのか解らないが彼は今どんな表情を浮かべているのだろう……
気になり控え目に見上げてみると
彼は無表情ながら私に真っ直ぐ視線を向けていて黒目がちな双眼と目が合った
「人も多いし、良いよね」
確認の様でいて、しっかりと言い切った彼は何処か満足気な表情を浮かべている様な気がした
私が熱に浮かされてぼんやりしている内にアトラクションへ乗り込む事に成った
やはり室内は暖房が効いており温かく体温も幾分回復する
丸いフォルムの宇宙船に乗り込み暗い室内を行く
地球や土星、暗がりに浮かぶ惑星群を通り抜けて快走し弱った太陽迄たどり着いた所で搭載されているボタンを連打して太陽へパワーを送る
私は世界観に乗っ取って太陽を救うべくボタンを叩きまくるが彼はまるで人形の様に微動だにしなかった
彼の代わりにも連打しまくっていた私のおかげで太陽は無事救われたらしく
ドカンと大きな音が鳴り響く中私達はくるくるスピンしながら無事地球へ生還したのだった
「太陽が無事で良かったです。」
「………」
どうやら世界観には乗れないらしい彼だが瞳は輝いていたので楽しかったのだと思う