第133章 遊園地と浮かれたカチューシャ
12月01日
遂に彼が居なくなる迄1ヶ月を切った
テレビから流れるCMはすっかり冬仕様に成り美味しそうに湯気を上げるクリームシチューやクリスマスを意識したCMが殆どを占めている
今年の冬は寒くなるなんてニュースで聞いたがその台詞通り身に凍みる寒さに成っていて既に電気カーペットが欠かせない
そんな寒空の中私達は沢山の人に混ざって長蛇の列に並んでいる
キンと澄んだ冬の空にはうっすらとした雲が流れていてチラリと隣の彼を見遣って頬を緩ませてしまう
ダッフルコートに私がプレゼントしたマフラーを巻いた彼は艶やかな黒髪を後ろに結って真っ直ぐ前を見据えていた
その黒目がちな瞳はキラキラと輝き人混みさえも気にしていない様に見える
「もう少しで開園だね」
「はい!」
目的地はユニバーサ○スタジオジャパン
何故私達が遊園地に来たかと言うと遡る事2日前、突然ポストに届いたのはUS○のチケットだった
全く見当も付かず私は大層狼狽えたのだが送り先を読んで蘇る記憶
冗談半分でテレビ番組の「何名様にプレゼント」なんてのに応募していたのだが其れが当選したらしかった
私は即座に彼へ報告し善は急げと2日後の今日人でごった返すこの場所に彼を連れ出したのだ
………それに以前ダブルデートで遊園地へ行った際彼と他の遊園地へも行こうと約束していたしこの機会しか無いと思う