第131章 彼のマイブーム
「美味しいですね!イルミさんは料理上手です!」
その様子をじっと伺っていた彼は私の表情から本心なのだと確信したのだろう
無表情な顔が少し緩んだ様に見えた
無くなれば作るを繰り返すので其れなりに時間がかかるのだが私がごちそうさまをした後もゆっくりと時間を掛けて彼は驚く程の数を胃袋に消した
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「ところでさ、北海道に行くなんて聞いて無いんだけど」
入浴を交代で済ませてタオルで髪の毛を拭っているとゴーゴーと大きな音を経てていたドライヤーが止まる
「………あれ?言ってませんでしたっけ……?」
ゆっくりと隣の座椅子に腰掛けた彼を見遣れば彼も此方を見ていて
随分以前から北海道旅行を計画していてフリープランで予約済みなのだがまだ話していなかった事実に気が付かなかった
「聞いて無い。」
「………すみません」
言い切った彼に俯いてしまう
来月で彼と過ごせる時間は終わる……もしかしたなら彼は旅行にも行かずにまったり過ごしたかっただろうか……なんてチラリと様子を伺うと
彼は深く溜息を付いた後に髪をかき上げて
「……別に。それより何処に行くの?」
言いながら横目を向けた彼と目が合い、安堵したと同時にワクワクと胸は高鳴った
彼にしてみれば突然の提案だっただろう
しかし彼は其れを受け入れてくれた上に興味を示してくれたのだ
私は嬉々としてスマホ画面を開いて見せた
宿泊するホテルと疎らに決まった観光地
全てを決めていなかったのは勿論彼の希望を一番に取り入れたかったからに他ならない
次々検索してはスマホを手渡し、其れを黙って眺める彼は無表情ながら決して不快には思っていなさそうだ
……まぁその実何を考えているかはさっぱり解らないが
彼は白黒はっきりした人なので話しの冒頭で拒否を見せなかった辺り、旅行に行く事には特段不満は無いのだろうと勝手に判断する
そして、旅行の話しに成っているのだから流れのまま彼の希望も聞いてしまおうと思った
「イルミさんも行きたい場所決めてください!私半分しか決めてなくて、イルミさんが行きたい所も行きたいし」