第131章 彼のマイブーム
「あの………イルミさん」
「何」
頬袋を膨らませてクリッと首を傾げる彼
(っ………!なんやねん……めっちゃ可愛い………!!!!……………無理………言いにくい………けど………)
「あの………」
「美味しい?」
「っ……………美味しい」
(…………くそっ………心が折れる………)
彼は私の言葉に再び鉄板に生地を流し入れ新たなたこ焼きを作り出そうとしている
止められない私の自業自得だがご機嫌な彼の姿に"食べたく無い""飽きた"等の直接的な言葉は使わずにどうにかブームを遠ざける方法を無い頭で考える
二度目の拍手をにこやかに送った後にわざとらしく溜息を吐いた
「?」
不思議そうに細めた瞳と視線を合わせる
「あの………イルミさん………私……たこ焼きの食べ過ぎで増量してしまいまして………炭水化物は太るし……これ以上は減量の為に食べないです。せっかくやけど………すみません」
尻すぼみになった言葉
しかし、しっかりとした声色で伝えた
彼が食べる分には問題は無いし私さえ脱っせるのなら其れで良いと思った
視線を落としたまま自身の手元を見ているとふわりと身体が宙に浮く
「!?」
「そう?増量した様には思えないけど」
まるで小さな子供の様に彼に抱き上げられていて驚きを隠せない
宙に浮いた足は落ち着き無く揺れて私は必死に彼の腕へしがみつく
更に確かめる様に上下にゆっくりと揺らされ彼は私の顔をじっと見た
「……………」
「…………降ろして欲しい………です」