第131章 彼のマイブーム
彼はすっかりたこ焼きを気に入り、毎晩たこ焼きを作る
今回質が悪いのは買い物へ彼自身が繰り出した事。
物覚えの良い彼は材料をすっかり把握し、作り方迄完璧な事………
夏祭りの翌日の夕飯に初めてたこ焼きを自宅で食べたのだが彼がここまでたこ焼きを気に入っていたとは思いもしなかった
回し方が上手だと拍手を送った事も彼に拍車をかけた
カチャリと開かれる玄関扉
今晩も始まる………彼と私の終わり無きたこ焼きパーティー………
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ジュージューと鳴る鉄板、ひっくり返すタイミングも完璧で彼は初めとは比べ物に成らない程上達し25口のたこ焼きを一瞬にしてクルリと回転させる
「…………」
そして無言のまま私をガン見
(…………待ってる………イルミさんが私の拍手を待ってる………)
彼の真っ黒で大きな瞳は私の手元と顔を交互に見てキラキラと輝く
(………イルミん可愛い……。尊いよマイエンジェルッ!!!)
という気持ちだけで満面の笑みを浮かべて拍手を送る私はなかなかに調教されたイルミオタクだと思う
素早く回転する目前のたこ焼きは一週間も見続けた結果最早何の感動も無い
寧ろ香りだけでお腹いっぱいである。
私を突き動かすのはただ彼の愛らしさだけなのだ
「さぁ………焼き上がったよ」
完璧に主導権を握り私の取り皿へたこ焼きを乗せる彼
彼も自身の分を乗せて二日前に生み出したソース一味マヨネーズで食している
私はスタンダードにソースマヨネーズだが毎晩毎晩毎晩毎晩変化の無いたこ焼きを食べ続ける訳にもいかず今晩こそは飽きるだろうと淡い期待を抱いていたのだが
彼は究極の一途だった
(…………知ってた………究極に重い一途さんやって原作で知ってた…………)
致し方無い………可愛い彼を拝めないのは非常に辛いし、かなり言いにくいが私の口から伝えるしか無い