第131章 彼のマイブーム
11月23日
ギックリ腰から約一週間
実のところ腰の激痛に苦しめられたのはあの日だけだった
以前顔見知りのお婆ちゃんの腰を真っ直ぐにした彼の針を思い出し、私には出来ないのか聞いた所
「その発想は無かった」
と言った後に痛みも無いままに刺された針により途端に痛みは無くなり
今では針が無くてもすっかり元気に過ごしている
「凄いです!針治療のスペシャリストになれますよ!」
と言った所
「……これは暗殺道具だよ」
と、言う言葉から30分程お叱りを受けたのでやたら滅多にお願いは出来ないが……
そんな事よりも今私は悩ましき事態に陥っている
居酒屋への出勤が無い日は彼より早く帰宅して彼の帰宅時間に合わせて夕飯を準備していたのだが
私のスマホには彼からの着信が鳴る
やはり今日もそうなのだ…………
『たこ焼きの材料買って帰るから』
地獄の合言葉を聞いて私は瞬時に否定を試みるが彼が通話を終了させる方が早くメールを入れてもスルーされて全く意味がない……
そう、パンケーキの再来
以前ホットケーキは自宅でも作れる事を彼に教えた事が発端となりホットケーキミックスが無くなる迄の一週間の間彼はホットケーキを作り続けた
あの時のミスは一緒にキッチンに立ち作り方を伝授してしまった事で彼自ら作れる様な環境をつくってしまった事だった
最近のマイブームはたこ焼き