第130章 腰は大切
11月18日
目覚まし無しで目覚める朝は気持ちが良い
隣にはまだスヤスヤと夢を見ている彼の姿
寒さ暑さに強いと語る彼だがやはり多少は寒さを感じているのか目元迄布団に潜り込んでいる彼にキュンとして一人ニヤついてしまった
上体を起こして伸びをするとパキパキと骨の軋む音
そして
腰に飛び上がりそうな程の激痛が走った
「………うがぁッ………」
思わず漏れた声は可愛げの欠片もなかったが幸い彼は眠っているのでセーフだ
………それよりもだ。
私は今静かに危機に瀕している
何気無く伸びをした……其れがいけなかった
私の腰は今全くの役に立たない物になっている
人生で初めてだが此れが噂の"ギックリ腰"というヤツだと確信した
何故なら先程からピクリとも動けない
無理に動こうとすれば猛烈な痛みが襲う事は間違いない。と自身の身体だからこそ解る……
更に非常に不味いのは私は今尿意がMAXに近いのだ
………やばい。
僅かに身を捩ると身体に走る激痛
しかし漏らす訳にはいかない。絶対にだ。
漏らした場合を想像すると全て彼に手伝って貰う羽目になる事態にゾッとした
(……無理無理無理無理………)
お漏らしをした。という事実だけで消えてしまいたくなるのにそんな事態に耐えられる筈が無い!!
私は気力だけで床を這っていた
とにかく前進するしか無いと両腕を頼りに板の間を進む
しかし私は気付いてしまった
………扉を開けない
そもそも便座に座る事は可能なのだろうか……