第129章 缶の箱と段ボール
なんて考えながらも朝食兼昼食を終えた私達はぼんやりテレビを見ていたのだが
(…………掃除しなあかんなぁ……)
数日前から部屋が少々荒れている事が気に成っていたのだがやる気が出ずに目を反らしていたのだ
しかしそろそろスルー出来ないレベルに達しつつある……
私は考えた
もうじき12月。年末と言えば大掃除だ。そう考えると軽く掃除すれば良いか、とも思うのだが
12月という事は彼が居なくなる……
彼が居なくなった後に平然と大掃除なんて出来る筈が無く
きっと泣いて過ごすだろう事は想像に難くない
………其れならば今の内に大掃除してしまおうか……
大体考えて見れば彼もこの家で生活している訳だし手伝って然るべきだと思う。
それに、12月に入ってしまえば私の胸に広がる寂しさは今より確実に大きな物に成って彼との時間を今よりずっと求めてしまうだろう
いくら彼と一緒だとは言っても悠長に大掃除なんてしたくないとすら思ってしまう可能性があった
「あの、イルミさん……」
私は決断した。今日1日を掃除に費やすと。
そして彼との優雅な12月を掴み取ると。
「今から一緒に大掃除しましょ!」
私の言葉に小首を傾げた彼に大掃除とは何か簡単に説明した
渋られるかと思ったが
「良いよ。俺も使ってる訳だし。」
と、快く受け入れてくれた
__________"
私はお手洗いを、彼は風呂場をピカピカにした
普段より力を込めて隅々まで掃除するのだと話したら真面目で几帳面な彼らしくそれはそれは綺麗に清掃してくれた
次いで私は洗面所を彼はベランダを
やはり一人でするより効率が良く予想よりも早く私達はリビングで休憩をしていた
「あとはキッチンとこの部屋だけだね。」
「はい!あと、荷物も減らしたいんですけど……鬼門は押し入れですね……」
「良く解らないけど、俺じゃ荷物は判断出来ないからキッチンを掃除するよ。」
「ありがとうございます!換気扇とかこの洗剤使ってください!」
「解った」
コーヒーカップを傾けつつ掃除用洗剤が沢山入ったかごへ視線を落とした彼はしっかりと油汚れ用の洗剤へ手を伸ばした