第128章 ポッキーを意識する話
先程迄キスする妄想をしていた私だが指に唇が触れてしまうと思うだけで心臓は早まって仕方無く、やはり私には度胸が無かった……。
彼の指に触れる寸前私はポッキーをわざと折ったのだ
未だ私を見上げていた彼はふぅっと息を吐いた後にチョコレートの残っていない残りのポッキーをぽいっと口に放り込んだ後に言葉を紡ぐ
「……ねぇ沙夜子、ポッキーを使ったゲームがあるらしいのだけど、知ってる?」
「……っ!!!」
瞬間、私は思い切り噎せた
私達は静かな攻防を繰り広げていたのだが核心を言えば彼と合法的にキスを出来そうなポッキーゲーム妄想を悟られない為だ
しかし、彼から「ポッキーのゲーム」という核心に近い言葉が出て私は途端に挙動不審になる
「……その様子だと知ってそうだね。」
「………えっと………」
怪しい笑みを湛えた彼は確信を得たという様に座椅子の背もたれに体重を預けると
「これだけ沢山あるんだし、やってみる?」
実に単調な声色で私の心臓をぶち抜く様な事を提案してきた
……正直顔から湯気でも上がっているのでは無いかと思うほど身体中が熱い
まさか彼の方から提案があるなんて思ってもいなかったし、妄想が現実になるかもしれないなんて考えてもいなかった
そもそも彼はポッキーゲームのルールを理解しているのだろうか……
私の頭はこの上無い混乱を極めているのだが
彼はギシリと座椅子を鳴らして
「で、するの?しないの?」
妖艶な声色で私に選択を迫った