第127章 通話のヒトコマ
11月のある夜
『もしもし』
「イルミか、どうした」
携帯を鳴らしたのは暗殺一家の長男だった
此方に休暇に来てから俺に着信を残すのはこいつとヒソカ、例外で沙夜子という一般人だけ
ホストとして金は稼いでいるが客に連絡先を教えた事は無く「店に会いに来てよ」と言えば大体そうしてくれる
そして、恐ろしい事に俺の休日を完璧に把握するイルミはピンポイントで電話をかけてくる
(………まぁ気配も特に絶って無いし探ろうと思えば簡単なんだが)
「何の用だ」
聞きながらも要件はいつも決まってる
『ヒソカの居場所は?』
沖縄旅行以降姿を消したヒソカ
彼女をまんまと餌に使われた事をイルミは未だに根に持っている
……全く粘着質な男だ……
「何度も言っただろう。知らない。これは事実だ」
男の力を持ってすればその気に成れば一週間と経たない内に探し当てるだろう
しかしそうしないのは頑なに仕事と彼女の元へ帰宅する事へ執着しているからで代わりに俺を動かそうとする
『……クロロが見付けたら金は払う。元の通貨に成るけど』
ビジネスとして持ち掛けて来る事も多々あるが俺はあくまで休暇中だ
………其れにお前達に巻き込まれたくは無い
「……依頼は受けない。何度も言わせるな」
『……あっそ。何か情報掴んだら宜しく』
言うなりプツリと切れた通話
本当に勝手な奴だ