第2章 お金と条件
「…色々心配やけど何かあったらすぐ帰って来るねんで。」
「ありがとう」
何故か握手を交わした後に弟の着ない服を母に聞き、何着か拝借して帰った
………お正月にイルミさんを実家へ連れて来るという条件付きで。
とてつもなく不安である。
_______"
帰宅するとイルミさんは外出前と変わらずにテレビを見ていた
真新しい玄関扉を見て、現実の出来事なのだと受け止めてはいたが、やはり二次元の住民であるイルミさんを目の当たりにするとグッと現実味が増す。
不意に此方に顔を向けたイルミさんは、おかえり。と声を掛けてくれた
「た、…… ただいまぁ~……」
(うおぉ …… イルミが私に話しかけた!!)
午前中に会話はしたが、パニクっていたので感動を味わう余裕が無かった
母と話した事で少し気持ちが落ち着いた今、この状況は非常においしいんじゃないかと思えてきた
(ヤバい……!ヤバい… 私 … めっちゃ幸せ者かもしれんっ!!!)
実の所HUNTER×HUNTERの中でも一番大好きなキャラクターはイルミ=ゾルディックだった
画面越しに身悶えた憧れの彼が私の目の前に居る
(あかん……俄然テンションあがってきた!!!)
変な手汗をかきながらいそいそと部屋へ足を進め、充分な距離を開けて座ってみる
自分の部屋なのに妙な汗が止まらない
(……ヤバい… 意識してみたら緊張してきた…… )
イルミさんに気付かれ無い様に横顔をチラチラと盗み見る
見れば見る程美形だ。
瞬きをする瞼にはカールした睫毛が長く伸びているしすらりと高い鼻筋、瞳は黒目がちで大きく、透き通る肌は白く、本当に生きているのかと疑わしいくらいだ