第2章 お金と条件
…お金を請求しようにもきっとこちらの通貨では無いだろう
こうなれば頼る所は…
「…イルミさん、私ちょっと出掛けて来ます。…絶対に出歩いたりせんといてくださいね。」
「うん」
大人しく頷いたイルミさんを自宅に残して愛車(自転車)に跨がった
目指すは実家である。
20歳の時に昔からお世話になっていた近所のおばちゃんが持っている小さなアパートに引っ越したのは、単に好奇心であった。
家族仲も非常に良いので友人達は驚いていた。
両親と弟は私が引っ越す前日、涙ながらに送別会を開いてくれた。
(まぁ、実家から自転車で10分やねんけど…)
一人暮らしを始めて4年…まさかこんな事になろうとは…
実家に帰ると母が出迎えてくれた
「どうしたん?連絡せんと帰って来るん珍しいな」
「うん…ちょっと頼みがあって…」
居間で向き直り
「お金貸して欲しいねん…」
「…何かあったん…?」
正直言い訳を考えたがここは賭けに出る事にした。
心配気な母の顔を見据えて生唾を飲み込み腹を括って、先程起こった出来事を全て話した
勿論本題のお金の話しも。
何故正直に話したかと言うと母はオタクだ。
私もオタクだ。
因みに弟もオタクで父はアニメや漫画が好きな部類だからだ
それに自転車で10分の距離に住み仲も良い為、隠し続けられる気がしなかったから…。
時計の秒針だけが響く
沈黙を破ったのは母だった
「…あんたが頭おかしくなったんかとは思ってんけど、あんた…」
母は少し考えた後、私の性格からそんな変な冗談は言わないだろうと推測してくれた様だった
お金を借りたいにしたってもっとマシな言い訳があるだろうと言う事で一応納得してくれた…一応。
お金も貸してくれた。
そして
「………あんた、イルミと同棲やんな?」
「……………うん…」
同居と言う方が正しいのだろうがとりあえず頷く