第126章 平凡なケーキ
「っ……!!!」
驚き過ぎて絶句する私
平然と部屋の灯りを付けたクロロさん
興味深気にケーキをガン見するイルミさん
「あのっ……!イルミさん手大丈夫ですか!?……ふぅって息で消すんです……」
私の言葉にきょとんとした彼は間の抜けた声で
「そうなの?」
と言った
随分此の世界にも馴染んだ様に思う彼だがやはりまだまだ浮世離れしていて、ツッコミを入れないクロロさんもやはり浮世離れしていると実感した瞬間だった
「早く切り分けようぜ!」
只見詰め合っていた私達に割って入ったクロロさんの言葉にケーキを三等分に切って
三人に対してケーキが大きすぎる事に気付く
ホームパーティーらしく出した花柄の紙皿一杯のケーキ
「………はりきったから大き過ぎるの買っちゃいました……」
「そうだね。」
「まぁ良いじゃないか!いただきます!」
元気なクロロさんの声を聞いて私達はケーキを頬張った
甘くて幸せな味
メッセージプレートのチョコレートは主役の醍醐味という事で彼のケーキに乗せたのだが半分噛ったそれはちょこんと私のケーキに乗せられた
「あげる」
「ありがとうございます!」
其れを皮切りに沢山のイチゴが私のケーキに次々乗せられて彼のケーキは真っ白になってしまった
「イルミさんの分が……「あげる」
「良いんですか?」
「うん」
「ありがとうございます!」
イチゴで一杯に成ったケーキを食べると笑みが溢れる
「ん~!」
と、二人から刺さる視線は先程とは違う保護者的な物に変わっており一気に恥ずかしくなり思わず俯くと伸びてきた手に顎を掬われ彼と向き合う
ドキリと跳ねた心音
彼の長い指が頬をなぞって離れた指先にはクリームが付いていて
唇から覗いた舌は指先を艶かしく舐めとりむせ返る色気にクラクラとした
本当に彼は突然妖艶に成り、私の心臓を殺しにかかる