第126章 平凡なケーキ
クロロさんにお酒を貰う約束をしたり彼の今日の現場の話を聞いたり私の個人的などうでも良い話をしたりパーティーは和気藹々と進み山盛りあった料理は綺麗に完売した
お酒を飲みながらお米もしっかりおかわりした二人
このイケメン達の何処に消えたのか解らないが"美味しい"と言われるのはやはり嬉しくてお酒が進んだ
一旦ちゃぶ台を片付けた後におつまみに買っていたお菓子を皿に盛り付けてちゃぶ台に並べ
その合間にバースデーケーキの準備をする
出会った頃は同じ年だった彼が25歳に成ったのだ、と不思議な感慨深さを感じながら25の形を型どったローソクに火を付けた
イチゴのショートケーキ。
チョコレートのメッセージプレートには"イルミさんお誕生日おめでとう"と書いてもらった庶民ド定番の平凡なケーキだ
敢えて平凡な物でお祝いしたかった
彼がこの先元の世界に帰ったらセレブなパーティーでケーキを食べる事はあっても平凡なバースデーケーキはもう一生食べないかもしれない。
………この日を忘れないでほしい。
なんて女々しい考えで選んだケーキから視線を上げてクロロさんに合図すればパチンと部屋の明かりが消える
ゆらゆらと揺れる小さな炎
ハッピーバースデーの歌を歌いながらちゃぶ台にケーキを置けば仄かな明かりに彼の大きな瞳が輝いた
「ハッピーバースデーです!イルミさん火を消してください!」
拍手を送る私とクロロさん
徐にケーキへ手を伸ばした彼は指先で炎を摘まむ様に火を消した