第126章 平凡なケーキ
初めて仕事をした日。
彼の仕事は人の命を奪う事
其の日を誕生日だなんて不謹慎だ
なにより生まれた日を告げられず暗殺をして初めて誕生日なんて悲しいと思った
……だけど彼は何とも思っていないのだろうし
彼が誕生日だ、と言うなら私はその日をお祝いしたいと思う
「じゃあ誕生日になってる日はいつですか……?」
「10月26日」
「………えっ!過ぎてるやん!!」
思わず凄い勢いでちゃぶ台に手を付いたので私のスプーンが飛んで行って床に転がったが今はそれどころでは無い
愛しい彼の誕生日を祝っていないなんて事が有り得るだろうか………否ッ!!!有り得ない!!!
「すみません、明日イルミさんの誕生日会を開きます!」
「……え、いいよそんなの。」
「駄目です!私がやりたいんです!あ、……クロロさんも呼びます?誕生日会やし」
「要らない。」
「………要らないって……呼びましょうよ!!!人数多い方が盛り上がりますよ!」
「いら「場所は私の部屋で!!豪勢なお料理食べてお酒飲んで!!」
「沙夜子、要ら「そうと決まればクロロさんに連絡です!!」
「本当に要らな「めっちゃ楽しみです!!!!もー。何で過ぎる前に言うてくれなかったんですかー!」
「………。」
「まぁ、たった三人やけど……パーティーには違いないですよね!私、イルミさんの事めっちゃ全力で祝います!!!!」
「…………解ったよ。」
私は夢中で喋っていたが彼の溜息を聞いてずっと彼の言葉を遮っていた事に気付く
…………非常に馬鹿だ。
「あの、すみません、私興奮し過ぎてしまってイルミさんの話聞いてませんでしたよね……」
おずおずと言葉を紡げば彼は溜息交じりに頭を掻いた
「………沙夜子はたまに暴走するよね。」
「………すみません」
「………別に。で、結局クロロ呼ぶの?」
「はい!!!」
「解った。」
彼は其だけ言うとスマホを手に取りコール音のするそれを私にポイっと放り投げた
"クロロ"の文字の画面
耳に当てれば直ぐにイケボが聞こえた
「あ、もしもし私です!」
『おー。沙夜子か、どうした?』