第125章 俺と彼女
自身の手を持ち上げて指を触りながらだらしが無い笑顔を浮かべた彼女
自身を「イルミン」と呼ぶ時は大体記憶が無い
抱き寄せて胡座の上に座らせ後ろから抱き締めてみる
「イルミン……?」
「……沙夜子」
固まってしまった彼女の首筋に顔を埋めると甘い香りが包んだ
フワフワの布に包まれた彼女はやはり自身とは全く似付かない柔らかな身体をしていて離したく無くなってしまった
「どうしたの。まだ飲むんでしょ?」
「……うん」
暖かな体温が心地好くて瞼を閉じる
彼女の身体から伝わる心音は驚く程に早くて笑ってしまった
二人揃ってテレビを見て、会話を交わしたけど彼女はずっと膝の上から動か無かった
その後其のままうとうととし初めた彼女からグラスを取り上げて布団に運ぶ
腕から離すのが惜しいと思ったがトロンとした瞳の誘惑に今以上彼女に触れていては駄目だと警告が鳴った
「おやすみ沙夜子」
「……んー……おやすみ」
……離れがたい………其の気持ちから彼女の頬を撫でた手に擦り寄った彼女は瞳を細めた後に儚く美しい微笑みを残して瞼を閉じた
ひんやり冷たい風が入る窓を閉じれば二人きりの空間
随分懐かしく感じる布団に横たわると身体中に溢れたのはあたたかなものだった
……明日も彼女は笑ってくれるだろうか