第15章 酔っ払いのヒトコマ
1月のとある日の夜
私は始めたばかりのアルバイト掛け持ち生活にストレスが溜まっていた
コールセンターも居酒屋も環境は非常に良好なのだが
掛け持ちを始めたこのタイミングでコールセンターでの案内内容に変更が入り
今までの台本は破棄され新たなシステムの研修が行われたりして何せ覚える事が多く
むしゃくしゃした感情をそのままに酒を煽っていた
「沙夜子、飲み過ぎ」
正直な話し私にこの晩の記憶は無く翌朝以前の出来事を彷彿とさせる土下座を決める事になる
「だって~私アホやから頭爆発しそうですよ~」
「確かに馬鹿だね」
「イルミんまでそんなん言う~!」
「イルミん?」
「イルミさんのあだ名!」
「沙夜子はさーや?」
「それ私のあだ名!」
「知ってる」
「イルミんは何でも知ってる!博識ーっ!」
酔っ払いの行動力は時に目を見張る物がある素面ならば到底できないであろう事も平気でやってのけてしまう
相手の顔色等お構い無し
現に私は今イルミんを撫でくり回しながらお酒を飲んでいる
イルミんを肴に飲む酒は実に美味しい酒だ
イルミんの髪はやはり想像通りと言うべきか、艶々で痛み一つ無い綺麗な髪を我が手でとかす快感に酔いしれている
「イルミん髪サラサラー!羨ましいわ」
「さーやは癖毛だね」
私の髪を一束手に取るイルミん
「親どっちに似ても癖毛やからなぁ」
「ふーん」
「イルミん頬っぺ!」