第125章 俺と彼女
出て来た料理は朝ごはんだ、と言ったにしては随分ボリュームがある
「いただきます」
「いただきます!」
ガツガツと白米をかき込みオムレツを頬張った彼女は大きな頬袋にケチャップが付いていた
実に間抜けな姿の彼女だが幸せそうに唸り声を上げて一人こくこくと頷いていて何を納得したのか知らないが機嫌が良さそうに鼻歌を歌う
テレビ番組の合間に聞いた事があるCMの曲だった
ゴクゴクと麦茶を飲み干した彼女は、ぷはーっと息を吐くとまだ食事中の自身をじっと眺める真っ直ぐな視線が刺さった
黙って見遣ればにんまり頬を緩ませる彼女に直ぐ視線を反らした
何時もなら視線を反らすのは彼女の筈なのに
「ごちそうさま」
「はい!」
煩いくらいに元気な声
彼女の鼻歌は洗い物の音に混ざる
彼女は馬鹿な程解りやすい。
気持ちが表情や行動に直結するのだ
機嫌が良いと鼻歌を歌ったり歌を歌う。機嫌が悪いと足音が大きく成る。考え事をしているとぼんやりしていて動作が悠長に成り、固まってしまったりする
今日はかなりのご機嫌な様だ
原因は考えずとも自身の帰宅である事は推測出来た
其れが証拠に歯磨きの際傍にぴったり引っ付く事等今まで無かったし、洗い物を済ませた今も隣にぴったり引っ付いている
付けたテレビから流れる情報番組に目もくれない彼女に溜息を付く
「……何?」
「へへへ……うひっ……」
「其の笑い方やめなよ」
「はーい!」
そんなに笑ってばかりいたら頬が引きつるんじゃないかと思う