第123章 足りない景色
(………お風呂入ろうかな…)
私は先に入浴を済ませる事にした
人付き合いを好ま無さそうな彼でも、もしかしたなら付き合いで飲み会なんかに誘われているのかもしれない
帰ってしまうなら針や仕事着は置いて行かないだろうし
そもそも電話が繋がるという事は電波が届く範囲には居るという事で、彼の居場所はまだ此の世界なのだと思うと不安は幾分か薄れた
時刻は0時を回り私は一人夕食を食べて電気を付けたまま布団に横に成っていた
静寂が耳に付いて泣き出してしまいたく成った
何かのトラブルに巻き込まれたのだろうかとも考えるが一般人に彼を傷付ける事は不可能に近いだろうし、交通事故に合っても彼はピンピンしている様な気がして其の仮説は直ぐに消える
…………まだ飲み会なのかもしれない
飲み会なのかすら解らないがお酒の席なら深夜に成る事もあるだろうと考える
……大体彼はスマホの充電が切れたら充電するスタンスでいるから肝心な時に繋がら無いのだ
理不尽にイライラしてしまうのは不安や寂しさからで
もう少し待っていよう、もう少ししたら帰るかもしれない
なんて思っている内に外はすっかり明るく朝を迎えていた
__________"
「おいさーや、大丈夫か?」
「……………え?」
「……フラれたんか……?」
「……………」
フラれた………?藤木の言葉にぼんやり考える
私達はそんな間柄では無い。だけどそこには確かに通じ合う何かが存在していた様に思っていたのだが、其れは私の独りよがりだったのだろうか……
昨夜一人で色々考えた
彼が身体的に傷付き帰宅困難に成る確率は極めて低い
其の可能性があるとするならばヒソカさんとぶつかった時だと思った