第14章 朝のヒトコマ
「すみません!」
「うん」
彼は気にする様子も無く私の携帯を操り覗いている
「ちょっ!!見たらあかん!」
恥ずかしさから起き上がろうとしているとガッシリと捕まりまた胸の上へ戻される
「うぐっ…」
「これ、寝てる時だよね」
「私のイルミさんファイル!見たらあかん!!!」
此方から携帯画面は見えないが密かに盗撮した彼のお宝ファイルを見られたらしい事は明らかだ
今の状況の恥ずかしさより変質的な写メを見られた方が恥ずかしいやら焦るやらでジタバタして見るが身体はびくともしない
「ぐぬぬっ……!イルミさん離してっ!!」
それでも抗ってしまうのは精神面の防衛本能的に仕方ないだろう
イルミさんを見上げると彼も此方を見ていた
「………本当は何も見てないよ」
彼の手にある携帯が私に向けられると画面は真っ黒だった
「っ………!!!」
瞬間に汗が吹き出した
彼にしてやられた……
「騙した!騙したな!!」
「ちょっとかまかけただけ」
「もう死んだ」
私は抗う事も諦めて彼の身体の上でぐったりと脱力してしまった
「生きてるじゃん」
「……そういう意味じゃないっす」
「はい、起きるよ」
「………あ、はい」