第122章 雨と神社と山道
「あの店員どういう気で勧めたんだろうね」
「え、あ、私達をカップルやと思ったからじゃないですかね………?」
言いながら変な汗をかく
「にしても、子授けは無いよね。帰ろう」
「……はい」
呆れた声をあげた彼は踵を返して元来た道を戻って行くので私は慌てて追い掛ける
私の頭の中は彼の言葉で一杯だった
彼の言葉は別に間違ってはいない。
しかしラブラブのカップルならあの末社も楽しく見れたかもしれないし結婚を考えているカップルなら子授けは大切な事だ
しかし私達には必要無い。というのが妙に悲しかった
(………いや、いやいやいやいや私!!両思いは愚か、恋人でも無いし………確かに私達には必要無いよな。逆に必要や!って思ってたら怖いか………うん)
考え直す事により悲しみは綺麗に消えたがやはり気まずさは拭えず車に着く迄私達は無言だった
縁結びは結局祈願出来なかったが鳥居を潜る迄ずっと心の中で祈りを捧げていた
_________"
流れる景色に伴い緩和された気まずさから私達は何時も通りの空気を取り戻していた
帰り道に加太特産の海鮮を購入した私達は家で堪能しようと会話を弾ませる
すっかり暗くなった空
随分日が落ちるのが早く成った
「行きと違う道だね」
なんて言われたが私には違いが解らず曖昧な返事をしたのだが途中から明らかに通った覚えの無い山道に入った事で車はガタガタと揺れた
「荒い道ですね……」
「酔った?」
「大丈夫です」
最初こそ舗装された道だったが徐々に細くなり街灯一つ無い道は不安を煽った