第122章 雨と神社と山道
途中、日本人形とは毛色の違う信楽焼きの狸や招き猫なんていう恐怖が緩和されるコーナーを通り過ぎて階段を登ると直ぐに見えた末社は本殿とは雰囲気が異なっていた
末社には沢山の絵馬が吊るされていて其所に張り出されていたのは"下着を納める方は格子の中へ投げ入れてください"の文字
「?」
私は訳が解らず中を覗くと袋に入った下着らしき物や布に包まれた物、はたまた脱ぎたて?と思う様な物迄あり、ギョッとしてしまった
そして其の奥には大きなコケシの様な物が並んでいた
「あれ何でしょう?コケシ……?」
私につられて彼も中を覗いていたのだが私にチラリと視線を寄越して押し黙っている
「………………?」
まじまじと見てみる
コケシにしては顔が無く形状も違う………果たして何なのか解らずに凝視していると
「!!!!」
其の正体に気付いた
奥に鎮座している其れは男根形を型通った物だったのだ
不味い……………まじまじと凝視してしまった手前非常に気まずい……
思わず固まってしまう
「……………。」
「……………。」
そして彼は尚も無言を貫いていて意を決して振り向いた私の表情を伺う様に真っ直ぐ見詰められてしまった
先程迄あんなに肌寒いと感じていたのに今は熱い……きっと顔も露骨に真っ赤に違い無く彼はそんな私の様子に溜息を付いた
私の表情から正体に気付いたのだと悟ったらしい彼は緩く頭を掻きながらスマホを取り出した
「…………?」
暫くそんな彼を眺めていたが
「今スマホで調べたんだけど、婦人病とか子授け、安産なんかのご利益があるんだって。」
「へ、へぇ」
検索するなんて、下着だらけ男根だらけの奇妙な末社を彼は余程不思議に思ったのだろう………私も思った。
「沙夜子も下着入れる?」
「…………入れません…」
再び訪れた沈黙
……………非常に気まずい
決して卑猥な物では無いし寧ろ神聖な物だ。しかし微妙な関係性の私達には気まずい物だった