第121章 妄想女子と勘違い
「イルミさん……もしかして……私に彼氏が出来たと思っ………」
途端大きな手で頬を挟まれ唇がにゅっと突き出す
「何。」
すっと細められた瞳と目が合い思わず頬を緩めれば彼は大きな溜息を付いた後に私を解放した
「………そうだよ。馬鹿みたいな勘違い。まさか下らない動画だったとはね」
やれやれといった風に漏らされた言葉からどうやら彼は観念したらしい
私に彼氏が出来た、そう勘違いをした時彼は少なからず動揺していた様に感じて私は笑いが止まらず彼に頬を摘ままれてもずっと笑っていた
灯りの消えた部屋で煌々と光るスマホ画面からは動画が流れ私は惜し気も無く気味の悪いニヤけ顔を晒す
暴露してしまったのだからもう遠慮はしない
「早く寝なよ」
なんて隣合わせの布団から呆れ声を上げた彼
「イルミさん!またこのダンス踊ってくれませんか!脳内が荒ぶり過ぎて眠れそうに無いです!!出来れば執事服で!!!!!!」
「絶対に嫌。」
「なんでー……絶対カッコいいのに!執事イルミさんダンス!!」
「興奮しないで。煩い。」
「えー…………見たいです……」
「絶対に嫌。」
駄々をこねる私にご丁寧に二度も拒否をした彼だが其の声色は何処か楽し気に部屋に響いたのだった