第121章 妄想女子と勘違い
「あの、話しとかしないですから!そんな事するんやったらイルミさんと話します!」
「そういう態度も辞めた方が良いんじゃない?」
「………え……」
「勘違いされるよ。相手に」
「………相手…………?」
益々彼の言葉が理解出来ずにいると彼はゆっくりと此方を向いた
やっと交わった視線
なのに彼は酷く冷たい表情を浮かべていて其の理由すらも解らない私は言葉が見付からず只彼を見詰める
「自分から言わない気?」
「…………えっと」
「…もう良いよ。」
彼は言うなり黙々と食事を済ませて何事も無かった様にアラ○ンを最後迄観賞し、入浴に行ってしまった
何時もに輪を掛けて無表情だった彼を思い返し出会った頃を思い出す。
最近の彼は僅かな変化ながら表情が柔らかく成った様に思えていたのに…………
私は彼の言葉の意味を上手く理解しようとしたのだがやはり何も解らず不安と切なさで胸が一杯に成った
………引かれる覚悟で趣味の事を彼に話す決意をする。
私の馬鹿げた趣味のせいで何故かは解らないが彼とギクシャクするなんて其れこそ馬鹿らしいと思った
其れに良く考えれば、今までの私の奇行も大概なのであわ良くば引かれ無いかもしれない……
私は彼の風呂上がりのコーヒーをお揃いのマグカップに注いで待った
やっと出て来た彼は昨夜同様髪を拭う
違う点を挙げるなら普段より長湯だった事くらいで私は座椅子に腰掛けた彼にカップを差し出し正座した
「イルミさんお話ししましょう。私達何かおかしいです」
「………もう良いって言わなかったっけ。俺散々沙夜子から話す様に促したよね。」
彼は特段声を荒げたりしない。
しかし其の声色には明らかに苛立ちや拒否が含まれている様に感じて何故そこまで私は彼に距離を作られているのか悲しくて泣きそうに成った