第120章 ハロウィンの夜
「流石にバー迄寒いから着て行きますよ!カメラ目線ありがとうございますッ!!!」
「バーでは其の格好なんだ。ふーん。」
シャッターを切った先の彼の表情は不服そうに変わる
「………コスプレですから!」
「透けてるじゃん。」
「でも大事な所は隠れてますし」
「…………。」
「…………。」
言い方がまずかった。私達の間に漂う空気が気まずい物に成った
「まぁ……うん。其れにしたって胸元も出てるし乙女の恥じらいとかいうのは何処にやったの」
「コスプレやとその辺も大丈夫かなって………」
「ふーん。」
確かに胸元も普段より随分露出しているがジャス○ンのコスプレと考えると厭らしい感じでも無い
其れなのに彼に指摘された途端になんだか恥ずかしく成った
彼は興味無さ気に呟いたっきり何も言わなくなってしまった
________"
コスプレパーティー開始時間と到着時間を逆算して家を出た私達を包むのは肌寒く冷たい冬の匂いだった
恐る恐る吐いた息はまだ白くは成らなくてほっとする
隣を歩く彼の革靴の音を聞きながら見上げた空は既に暗く成っていた
完璧な迄に燕尾服を着こなしサラリと伸びた長髪を緩く纏めた彼の姿は閑静な住宅街なのも相まって非常に目立つ