第119章 思いと想い
「説明しよう!ケー○ン社とは一体一体しっかりと其の動物が持つ特徴を作り上げ、その均等の取れたフォルム!一体一体をしっかり手作りで作り上げる丁寧さ、そしてこのクオリティ!!!ぬいぐるみ界の王者です!」
「へぇ。」
私は言いながらもショーケースを眺める
可愛いひつじが此方を見ていて擽られるが値段を見て諦める
「まあその分お値段は優しくないですけどね」
「どれ」
「?」
「どれが欲しいの」
「えっ。良いですよ!!」
「どうせ沙夜子は勿体無いからって一生買えないよ。どうせあぶく銭だし」
「………っでも!!「はいはい。どれ?」
「………ひつじ………」
「羊ね」
彼はさらりと購入した後に私に紙袋を差し出した
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
ぶっきらぼうな彼の声色に笑みを返した
__________"
カーブが続く山道は紅葉に染まった木々が紅色のトンネルを作り秋晴れの空と美しいコントラストを生む
「昼食はここね。」
「はい!」
次いでやって来た場所は暫く車を走らせて到着した六甲ガーデンテ○ス
其の敷地内にあるグ○ニットカフェのテラス席にて食事をする
高い標高から見下ろした景色はまさに絶景で吹く風は冷たく上着をぎゅっと抱き寄せた
「寒い?」
「ちょっと」
「中に移る?」
「大丈夫です!景色見てたいし」
「そう」
運ばれて来た暖かいスープが身に染みる
私達は食後に暖かい飲み物を飲み車内に戻った
「さ、昼寝しよう」
「え?!」
思いもしなかった彼の言葉に声が裏返る
ずっと謎だったフルフラットの後部座席へ身軽に移動した彼は事も無さ気にごろりと転がった
唖然としている私を助手席に置き去りにして
「夜景迄まだまだ時間あるし見る場所無いし。得意でしょ、昼寝」
なんて言って除ける彼に続いて転がると毛布を肩までかけられてしまった
「あ、すみません」
「別に」
ふぅっと息を吐いた彼は黙って天井を眺める
端正な顔立ちは無表情ながらその行動に暖かさを感じる
「イルミさん………モテるでしょ………」