第119章 思いと想い
小さな豆電球だけが部屋を控え目に照らす中何度目かの寝返りを打つ
布団に入ってから私の脳裏に浮かぶのは混浴の際の彼の姿で、否が応にも高鳴る鼓動が静寂に煩い
彼の瞳はやけに愛欲的で強く私を求めている様に感じた
普段淡白な彼の瞳からは想像も付かない情熱的な瞳
全身から溢れる艶かしい雰囲気は全ての感覚を麻痺させる
身体が溶けてしまいそうな程に力強くも優しいハグは肉体的な事だけでは無く心迄をも抱き締められた様で彼に愛されているのでは無いか、この幸せがずっと続くのでは無いかと錯覚すらしてしまう
あの時ハグを許したのだって私自身、心の何処かで彼ともっと近付きたいと望んだからに他成らず、このまま彼に溺れて行けたなら……なんて考えると胸は切なく締め付けられた
「………イルミさん」
ポツリと漏らした声に彼はしっかりとした声色で返事を返した
とっくに眠っていると思っていたので少々驚いたが跳ねる声色は嬉しさしか含まず
「………今日はいっぱいありがとうございました。ほんまに素敵な1日でした」
「大袈裟だね、まだ明日があるよ。」
彼の言葉は嬉しくも切ないもので私達は確実に在る明日の話しをして眠りに付いた
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翌朝アラームにて目覚める
障子越しに射し込む柔らかな日射しから外が快晴である事が見て取れた
隣を見遣れば彼はまだ夢の中でスヤスヤと静かな寝息を経てている
上体を起こして近付いてみる
本当に見惚れてしまう整った顔立ちを持つ彼をこんなに至近距離で眺められる私は世界一の幸せ者に違いない………