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ここは私の部屋です【HUNTER×HUNTER】

第118章 月夜の湯煙






焦れったい手つきで撫でられているのは沖縄旅行で彼に付けられた歯形の痕だった


「痛かった?」


解り切った質問を投げ掛けて瞳を細めた彼は其れと同時に首筋へ顔を近付け歯形の痕をペロリと舐め上げた

しっとりとした舌の感覚に息を飲んでいるとチュッとリップ音が聞こえた

其の音すらも今は色香を漂わせる物だった

そしてその直ぐ後にチクリと僅かな痛みを感じ、彼に吸い付かれているのだと理解する

歯形の上に薄紅色の痕

火照る身体はクラクラと目眩を起こして私はいよいよ彼の身体に力無く凭れ掛かった
筋肉質で引き締まった彼の身体に只体重を預ける


「………イルミさん……逆上せた……気持ち悪い………」


「え。」


………………………事実だった。



長湯、アルコール、彼の妖艶さ

全てが私を逆上せさせる要因になった

特に彼の淫靡な眼差しは私の身体を火照らせて更に追い討ちを掛けた


私の言葉にザバリと立ち上がった彼は私を軽々持ち上げて脱衣室迄運んでくれた


タオルが透けてやしないか心配していた私だが今は自力で立つ事も出来ず其れ所では無かった

私を椅子に座らせてくれた彼は即座に水を差し出す

既にキャップの開いたペットボトルに彼の優しさを噛み締める


「俺先に着替え済ますから少し目閉じてて」


彼に言われるままに瞼を閉じれば頭の中がぐわんぐわん回って気持ち悪かった


「沙夜子、着替えは自分で出来る?」


彼の言葉に薄く目を開くとすっかり浴衣を身に着けた彼が心配気に私を覗き込んでいて私は小さく頷いて見せる


相当気分が優れないが着替えは是が非でも自身でしたい。裸をこんな形で彼に見られるなんて恋する乙女として絶対に嫌だった


「解った。先に廊下に出てるから何かあったら呼ぶんだよ」


彼の背中を見送り私は意地と根性と気力だけで着替えを終えた


………そして力尽きた


目眩がして倒れると確信した時には目の前が真っ暗で


彼を呼ぶ声は声に成らないままに私は意識を手放した





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