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ここは私の部屋です【HUNTER×HUNTER】

第118章 月夜の湯煙






私は腹を括った

折角彼が選んでくれたプラン
混浴の見落とし等小さなミスである

私達は旅行を楽しみに来たのであって断じて疚しい関係では無く、純真たる同居人であり何の問題も無く混浴だって楽しめる筈だ。…………なんて考えは建前で

彼との別れが日に日に迫るのを感じてどうしようも無く潰れてしまいそうな心は一時でも多く彼と時間を共有したい。一つでも多く彼との思い出を残したい。という駄々っ子の様な考えが私の背中を押したのだ


私は直ぐ様化粧水や乳液の入った旅行用のポーチと替えの下着の入った巾着袋を鞄から探り出し立ち上がった


目が合った私達には何故か連帯感の様な物が生まれており其処にはもう困惑は無かった


仲居さんに連れられて廊下を行くと綺麗にライトアップされた渡り廊下を抜けた先に貸し切り風呂はあった


「御入浴済みましたらお手数ですが此方の札を裏返して空き札に掛け変え宜しくお願い致します。ごゆっくりお楽しみ下さい」


深い藍色の暖簾、しっかり"入浴中"と記載された札

仲居さんの背中を見送った私達には静寂が訪れる


気が付けば仲居さんのサプライズ登場から私達は会話を交わしていなかった

只突っ立っている私をそのままに彼は扉に手を掛けた


開いた扉からは趣のある廊下の雰囲気を崩さない間接照明が素敵な脱衣室が広がっていた



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