第13章 優しい手
「帰る前にシフト出してもらっても良い?」
「はい!」
私の希望シフトは面接の際に伝えた通り週三日分書き込んだ
駅ビルに入っているため土日祝日は定休日という事もあり此方としても都合が良かった
終電で帰らずとも徒歩圏内の私は帰りを促してくれる店長の勧めを押し切りきっちりと清掃を済ませて店を出た
時間を確認しようと携帯を取り出すと画面には沢山の着信履歴が表示されていた
(なに!?)
慌てて開けば"イルミさん"の文字
私は直ぐにかけ直した
『もしもし?!』
「あ、もしも『何処にいるの』
「え、あぁこの間案内した駅ビル…『待ってて』
「えっ!?あの!!」
プッツリ切れてしまった通話
彼の背後はワイワイと賑やかな声がして其所が家では無い事がわかった
(…私の事探してたん?……メール見てないんかな)
私はどうする事も出来ず駅ビルの外で彼を待つ事にした
見上げた空は晴れていて星が綺麗だ
………驚いたのは彼の焦りを感じさせる声色だった
あんなに声を荒げる事もあるんだななんて考え
心配させてしまった様で申し訳無くなる
ソワソワとしつつ待つ事数分で彼はやって来た
「沙夜子何してたの」
「心配かけたようで、ごめんなさい!メール入れたんですけど……」
「読んだから知ってる」
「えっ?」
メールを読んだなら私がバイトしていた事は解っている筈なのに。
質問の意図が読めない