第13章 優しい手
安堵の涙を流した後私は妙なハイテンションになりご機嫌で夕飯を作った
メールの時間的に本当に入れ違いだった様で私が居酒屋へ出勤する事も話せないまま時間は迫り
私は自宅を後にした
【新しく夜もバイトをする事にしたので行ってきます。夕飯温めて食べてくださいね】
メールを送信し
現在の時刻は22時過ぎ
店は決して広く無いが、予約客や常連さんで満席状態でてんてこ舞いだ
『生おかわり!』
「はい!只今!!」
「神崎さん!2番テーブルお願い!」
「はい!只今!!」
特に私は今夜バイトデビューな訳でまだまだメニューも解らないので目の回る忙しさだった
駅ビルに入っている居酒屋は23時閉店で
今は閉店準備の店内清掃をしている
脚が棒になるとはこの事だろうか
普段座り仕事の私にはハードで靴擦れを起こしていた
(新しい靴買おう……)
そんな私に声をかけてくれたのはパートの森田さんという人柄の明るい女性だった
「神崎さんお疲れ様!」
「お疲れ様です!」
「今日忙しかったからほんまに神崎さん入ってくれて助かったわ」
「ありがとうございます!」
「これからも頑張れそう?」
「はい!宜しくお願いします!」
店長さんも森田さんも皆優しく声をかけてくれ心地好い疲労感が身に染みる