第118章 月夜の湯煙
17:30
何もせず話し続けていた私達の部屋にノックの音が響いて会話が中断される
彼はそんな私を横目に見た後に事も無さ気に扉を開き
入って来たのは和服姿の仲居さんだった
どうやら夕食の時間らしくこの部屋で食事する様で沢山の残骸が乗った御茶請けが下げられる
実に10種類程あったお菓子を全て食べてしまった私達
少し恥ずかしいが悔いは無い。実に美味だった。
そしてお菓子は完全なる別腹なので夕食も俄然楽しむ気満々である
食い意地が張っていると罵るなら罵れば良い!なんて誰に向けるでも無く鼻息を荒くする私を他所に手早く支度を整えてくれた仲居さんが飲み物を聞いてくれたので口を開こうとすると
「先に頼んであるんだけど。」
と彼は言った
………知らなかった。……いや、私がこの部屋の凄さに呆気を取られている内に彼は注文を済ませていた様だ
料理が運ばれて来る合間に浴衣に着替えた私達は向かい合って座椅子に座る
暫くして運ばれて来た先付は上品な器にちょこんと乗った料理だった
仲居さんが丁寧に説明をしてくれるので私も頷きながら理解した風を装ったが高級感漂う小さな料理は繁々と眺めても何なのか解らなかった
取り敢えず手を合わせる
「いただきます!」
「いただきます」