第117章 広がる世界の話し
「だから今まで他人の話しを覚えていた事なんて仕事に無関係なら記憶に無かったんだけどさ、………不思議と沙夜子の話しは覚えてる。」
彼の言葉に顔を上げれば真っ直ぐで大きな瞳と視線が交わった
「沙夜子の話しは当然仕事に無関係だし、どうしようもない話しだったり本当に些細な話しだったりするのに忘れ無いなんて自分でも驚きだよ」
「………それは私も……驚きです……」
彼は器用で要領が良い。おまけに頭も良く、当然記憶力も目を見張る物があった
その為勝手な決め付けで彼は何でも細部迄記憶していると思っていた
………そう言えば彼は以前にも告白して来た女性の顔や言葉を覚えていないと話していた
そして私の話しは下らない物でも彼の記憶にあるという事実は私を舞い上がらせるには充分過ぎる威力で私はだらしない笑みを浮かべてしまったが気恥ずかしいので話しを逸らす
「イルミさんって仕事熱心ですよね!」
「今の話でどうしてそうなるのか解らないけど、別に仕事熱心じゃないよ」