第117章 広がる世界の話し
まさか彼から女性の話題が挙がるとは思ってもいなかった私は勝手ながら酷く動揺した
彼に女性の知り合いがいたって何ら不思議では無く寧ろ普通の事なのだが胸はズキリと痛んだ
彼は無感情に続きを話し始める
「昔、仕事に遅れそうで駅のホームを走ってたんだって。そしたらつまずいて転んでその拍子に履いていた片方のヒールだけが電車に乗って行っちゃったらしいのだけど………普段からそそっかし「………っ!!!それ私やんっ!!!」
「あ、正解。」
「っ~!!!」
嫉妬心と不安感を抱いていた相手がまさか自分だとは思いもしなかった………
しかも其の奇っ怪なエピソードを披露した記憶も無くどうせ酔った時に話したのだろうが彼に知られている事実も相まって恥ずかしくなった
大体、何故本人に本人の話しをするのか全く理解が出来ない………
「なんで私に私の話しするんですか……」
「何でも良いって言われたから。」
確かに私は何でも良いと言ったが………
白々しく首を傾げた彼の意図は解らないが追求しても無駄に思う
「………違う話しお願いします」
「うーん。」
悩んでいる風には聞こえない声で唸った後に彼はまた語り始める
「ある女性の話しなんだけど」
先程と同じ冒頭………