第117章 広がる世界の話し
其の間何かしら伝える手段を考えているのだろうか……なんて思うが何時だって彼の言葉は直球でそんな風にも思えなかった
「イルミさんはミステリアスですね」
「鼻のてっぺんにも付いてるよ」
「え、………一回で言うて貰えると有難いです……」
「………」
机に頬杖を付いて無言の彼に見守られながらテッシュで粉を拭う謎の時間が流れる
私と張る程の隠れテレビっ子の彼だが珍しくテレビを付ける素振りも見せず静かな部屋にはまったりとした雰囲気が漂う
観光は明日、と言った彼。
どうやら部屋から出る気配も無く私は彼とお喋りを楽しむ事にした
とは言っても私が一方的に話してばかりでは普段と変わらないので彼に話してもらおうと思う
「イルミさん!何か話してくださいよ!」
「唐突だね。何かって何。」
「何か面白かった話しとか、なんでも良いです。」
「どうして」
「……私ばっかりいっつも話し聞いて貰ってるから」
「…………」
彼は暫く沈黙した後相変わらず頬杖を付いたまま語り出した
「ある女性の話しなんだけど」
「……女性」