第117章 広がる世界の話し
私達の居る部屋には壁一面の窓があり其処からは二人貸し切りの小庭があった
風に吹かれた小さな紅葉の木が赤に染まっている
右側にある繊細な欄間の付いた襖を開くと今居る部屋より数回り小さな和室に成っていた
「寝室でしょうかね」
「だろうね」
私は聞くと同時に足を踏み入れ、光の入る障子を開いた
其処には先程より小さな庭と縁側が付いておりししおどしが小気味良く鳴り響いた
「おぉ!」
「何?」
「カポーンの和のやつがあります!」
「………?」
彼は私の背後から外を覗き見て サザ◯さんのが付いてる と呟いたので吹き出してしまった
「………何。」
眉を潜めた彼
「っ………くふっ……これは縁側って言うんですよ」
「……俺は異世界人だからね。沙夜子なんてずっと日本人なのにカポーンとか言っちゃってさ」
ムスッとした表情で視線を反らした彼が余りにも可愛すぎて思わず言葉にする
「………すみません……可愛かったから………」
「…………。」
彼は思い切り怪訝な顔を向けた後にふいと背中を向けてしまった
「………イルミさん……怒りました……?」
「………怒ってないよ。俺の事可愛いって言う沙夜子の神経が理解出来なかっただけ」
「………そうでしたか。イルミさんってめっちゃ可愛いんですよ!」
「………本当に……そんな事言うのは沙夜子だけだよ」
「皆見る目が無いんですね!」
彼の溜息を聞きながら私は障子を閉じて元居た部屋へ出るともう1つの襖に手を掛けた