第2章 お金と条件
彼が侵入してから暫くぼーっとしていた私は二時間程でようやく正気に戻った
今日は12月29日
開け放たれた扉から真冬の冷たい外気が流れ込むのに耐え切れずにまず大家さんに連絡を取り扉の修理を頼んだ
迅速にやって来た業者は怪訝な顔をしながらも新しい扉を取り付けて新しい鍵を手渡して帰って行った
大家さんが昔からお世話になっていた近所のおばちゃんじゃ無ければお叱りを受けていただろうが、穏やかに「あら~」なんて言いながら受け流してくれて大変感謝した。
問題は修理費である
「…32万円」
請求書を握り締めてあまりのショックに震えながら振り返るも
其処にはクッションを抱き締め、まるで自宅かのように寛いでテレビを見るイルミさんの姿しか無かった