第113章 彼女の気持ち
彼の手は離れる様子も無くしっかりと絡められておりニヤニヤしてしまった
「お揃い!」
「うん。」
その後私は沢山下らない事を話した
彼はずっと黙って聞いてくれていた
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「俺は先に眠るよ。明日から仕事なんだから飲み過ぎちゃ駄目だよ」
「はーい!おやすみなさい!」
帰宅してから残っていたチューハイを一人煽る
彼はいそいそと布団に入ると直ぐに眠ってしまった
一人今日の事を振り返り写真を見返しつつテレビの声をぼんやり聞いていたが
シンと静かな室内は何処か寂しくて今は彼が傍で眠っていてもその内居なくなってしまって
こうして一人で酒を煽り彼の思い出ばかり振り返るのかと思うとどうしようもなく悲しく成った
彼が就寝してもうすぐ一時間
眠る準備を整えて自身も布団に潜った
(……………あかん………寂し過ぎてやばい……)
彼はもうぐっすり夢の中なのだろうか……
小声で呼び掛けてみるが反応は無かった
そっと彼の寝顔を覗くと普段の凛とした雰囲気は無くあどけなくて愛しさが込み上げた
「イルミさん……おやすみなさい」
彼の頬にそっと触れるだけのキスを落としたのは切ない程に高鳴る胸の内を彼に伝えたかったから
………だけどそれは許されないから
その後私は彼への気持ちをしっかり抱いて眠りに落ちた
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「………はぁ………」
彼女は酔うと床でふて寝する
しっかり布団で眠るか気にしつつ布団に横に成っていた為にバッチリ起きていた男は深い溜息を付いた
理由は頬に触れた柔らかな感覚
冷たい自身の肌とは相反して熱く柔らかな感覚は男の心音を早めるには十分だった
まさか彼女からキスされるなんて思っても見なかった
(……唇にしてくれれば良かったのに………)
なんて思いながらも確信する
(…………同じ気持ちだよね……沙夜子……)
………だけど彼女に気持ちを伝えるのは余りにも酷だ。
自身を置いてきぼりにしてスースーと寝息を立てる彼女を見遣る
「…………はぁ………また寝れ無いじゃん………」
男はまた一人静かに夜を明かしたのだった