第112章 植物館に秋の風
背中を追ってやって来たのは【トロピカルガーデン】
先程の展示室とは一変して南国を思わせる雰囲気が漂っており
そこかしこに熱帯植物が生き生きと茂っていた
カラーリーフプランツやトロピカルフラワー等カラフルで先程のサボテン達とはまた違った色味を魅せてくれる
そんな中で私達の興味を惹いたのは食虫植物だった
ユニークな形と生態をじっくり観察する
「此れの大きいの俺の世界にも生息してるよ」
「え!大きいんですか……?」
「うん。人を食べるからね」
「………食人植物ですか……」
「別にやたらめったら街に生えてる訳じゃないから実害を受けた事は無いけどね」
「………そうですか」
彼の世界は一般市民が生活するのも此方の世界より随分リスキーに思う
平和ボケした私なんてただ街中を歩いているだけで即死しそうだなんて想像したが私が彼方の世界に行く事等無いのだから考えない事にした
【癒しの庭】という展示室には様々な工夫が施されていた
噴水を囲む石畳の周りに沢山の植物が点在していたりカフェテラスの様な空間の壁には植物が植えられていたりとその見せ方は芸術的で私は沢山の写真を撮ったりした
【フラワーショースペース】
この展示室は結婚式なんかも執り行われているらしく近々何かあるのか沢山の長椅子が並べられ真っ赤な絨毯が敷かれていた
「…………」
「…………」
まさか絶賛片想い中の彼と測らずも式場に足を踏み入れるとは思ってもおらず変に意識してしまう